人生の岐路

私は両親を子の立場から愛してはいましたが、両親から独立したいとずっと思っていました。私はかなりの自己中心的な人間なので、自分の思い通りにならないことが我慢ならない子供時代を送っていたからです。なので、親という存在は特に目障りでしょうがなかったものですから。その親のおかげで大きくなったのだということはわかっていても、それでも私は一人になって思い通りの暮らしをしたかったのです。ですが、残念ながら私にはそういうことのできる能力はなかったのですけれど。勿論、色々とこうしようああしようという計画は持っていました。それが、時が進むにつれ、自分のスキルが壊滅的であるということに気付いていき、こんな人間は生きていく価値はないよなあと思うようになっていったのです。幸い、こんな壊れた人間でも生きていてほしいと親以外にも思ってくださる人がいたおかげで、何とかこうやって生きてはいますが。時々思うのです。もっと違う生き方をしていたら、少しはまともな人間になっていたでしょうか、と。あの時、親元を離れて一人暮らしをしていたら、と、どうしても思ってしまうのはしかたないでしょう。とはいえ、それはそれで、また別の苦しみが待っていたのでしょうけれど。人生の岐路に何度か立たされて、私は此処までやってきました。ああ、なんと遠くまできたことか。そして、これからも岐路に立たされることもあるのでしょう。死ぬまでそれが続くのかと思うと、少し茫然としてしまいますね。何とか穏やかに人生の幕を下ろしたいと思っております。切に切に願っています。